【ゼロ年生とは?どうなる9月入学制度】メリットとデメリットを教えます!

ゼロ年生とは?学校

(2020年5月23日更新)
 政府が検討中の「9月入学」が賛否を呼んでいます。来年から完全移行か、段階的に移行か、はたまた「ゼロ年生」として入学させるか、様々な案が浮上しています。
 待機児童、法整備、教員増員など、考えなければならない課題は山積みです。
 文部科学省は、6学にも「9月入学」の方針を打ち出す予定です。
 この記事では、「9月入学」についてもう一度おさらいをして、メリットとデメリットについて教えます。

そもそも9月入学制度とは?

 幼稚園から高等学校までの入学時期を「9月」にする制度です。つまり、学校が「9月に始まり、8月末で終わる」ということを意味しています。

 現在、日本では「4月入学制度」を取り入れています。幼稚園から高等学校までが、学校の年度は4月から翌年の3月末までとされています。これは「学校教育法施行規則」で定められています。

第五十九条 小学校の学年は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。

学校教育法施行規則

↑小学校のみ引用しましたが、中学校や高校も同じです。

なぜ9月入学制度を導入しようとしているの?

 新型コロナウイルスの影響で日本全国の学校が休校となり、子どもたちの学習の機会が奪われているためです。
※ちなみに「休校」ではなく、正式には「休業」が正しいですが、この記事では「休校」とします。

 世界中で猛威を奮っているコロナ禍で学校が休校となり、およそ3ヶ月が経とうとしています。学校では授業を行えず、学びがストップしている状況です。

 学校には「授業時数」というものがあり、年度内(4月から翌年3月末まで)に行わなければならない授業の時間が厳密に定められています。

第24条 小学校の教育課程は、国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭及び体育の各教科(以下本節中「各教科」という。)、道徳、特別活動並びに総合的な学習の時間によつて編成するものとする。

第24条の2 小学校の各学年における各教科、道徳、特別活動及び総合的な学習の時間のそれぞれの授業時数並びに各学年におけるこれらの総授業時数は、別表第1に定める授業時数を標準とする。

別表第1(第24条の2関係)

授業時数

学校教育法施行規則

 今年度は、休校期間が長引いてしまったため、通常通りのスケジュールだと今年度内で授業時数の確保が困難です。

 そこで話題になっているのが「9月入学」です。今年度から入学時期を9月にすれば、失われた学習の機会を取り戻せると考えたのです。

 「学びの保障のためにも9月入学制度は必要だ!」と話す方も多いかと思います。現在浮上している「9月入学の3つの案」についてもう一度確認をして、その是非を考えましょう。

【案1 来秋9月から完全移行(一斉実施案)】

 来年の9月から「9月入学」に完全移行する案です。つまり、「9月生まれから翌年の8月末生まれまでが同じ学年とする」ということです。

 しかし、初年度(2021年度)だけは「4月生まれから翌年8月末生まれまでを同じ学年」とします。なぜなら、本来学年が上がるはずだった子どもたちを9月入学に無理やり合わせるためです。

メリット

 なんと言っても、学習の保障ができることです!


 来年度から9月入学が導入されれば、「今年度の終わりが8月末まで伸びる」というメリットがあります。コロナの影響で失われた授業を取り戻すことができます。

 さらに、中止になってしまったインターハイや甲子園も行えるかもしれないという希望が生まれます。

 休校期間をいち早く取り戻すにはとてもいい案と言えます。

デメリット

 来年度の小学1年生が1.4倍に増えてしまいます。

 具体的に言います。現行の4月入学だと、来年度小学1年生になるのは、2014年4月2日〜2015年4月1日に生まれた子ども(①)です。

 もし9月入学になると、①に加えて、2015年4月2日〜2015年9月1日生まれの子どもも一緒に入学することになります。

 例年より、4月・5月・6月・7月・8月生まれの子どもが増えることで、1学年に17ヶ月分の子どもが在籍することになります。つまり、12ヶ月→17ヶ月なのでおよそ1.4倍になります。

 子どもの立場からすれば、最大で1歳5ヶ月差の友達と同じ教室で学ぶことになります。今で言うと、小1と小2が同じ授業を受けているようなものですね。

【案2 来年度より段階的に移行(段階的実施案)】

 新小学1年の生まれ月を13ヶ月にして段階的に9月に入学させるという案です。

 少し複雑ですが、具体的に説明をします。

 案1とは違い、5年かけて9月入学を目指します。

  • 2021年9月入学生
    →2014年4月2日〜2015年5月1日生まれ(13ヶ月分)
  • 2022年9月入学生
    →2015年5月2日〜2016年6月1日生まれ(13ヶ月分)
  • 2023年9月入学生
    →2016年6月2日〜2017年7月1日生まれ(13ヶ月分)
  • 2024年9月入学生
    →2017年7月2日〜2018年8月1日生まれ(13ヶ月分)
  • 2025年9月入学生
    →2018年8月2日〜2019年9月1日生まれ(13ヶ月分)

 ☝️上のように、来年2021年から2025年にかけて、少しずつ入学生を増やしていくやり方です。

 そして2026年の9月入学生は、2019年9月2日〜2020年9月1日生まれ(12ヶ月分)となり、完全に9月入学に移行したことになります。

メリット

 負担を平準化することが可能になります。

 案1は来年の小1だけが1.4倍増えてしまうのに対して、案2はおよそ1.08倍増えることになります。

 同じ学年でみても、歳の差は最大で1.1ヶ月分ほどです。

 案1の負担の偏りを分散したような案ということです。

デメリット

 制度が複雑になることが考えられます。

 前述した通り、子どもの入学時期は「学校教育法施行規則」で定められています。段階的実施案だと、毎年のように法改正が必要になります。

 法整備はもちろんのこと、書類手続きが煩雑化することが考えられます。

9月入学案比較

東京新聞

【案3 小学ゼロ年生案】

 「小学ゼロ年生」を導入し、小学校を6.5年間にする案です。

 案3は、案2と少し似ていますが違うものです。分かりづらい案なので、解説します。

 学年の生まれ幅を「14ヶ月」にして、4月から8月を「ゼロ年生」として学校生活を送り、9月から1年生になるということです。

  • 2021年4月小学ゼロ年生、9月小学1年生
    →2014年4月2日〜2015年6月1日生まれ(14ヶ月分)
  • 2022年4月小学ゼロ年生、9月小学1年生
    →2015年6月2日〜2016年8月1日生まれ(14ヶ月分)
  • 2023年4月小学ゼロ年生、9月小学1年生
    →2016年8月2日〜2017年10月1日生まれ(14ヶ月分)
  • 2024年4月小学ゼロ年生、9月小学1年生
    →2017年10月1日〜2018年12月1日生まれ(14ヶ月分)
  • 2025年4月小学ゼロ年生、9月小学1年生
    →2018年12月2日〜2019年2月1日生まれ(14ヶ月分)
  • 2026年4月小学ゼロ年生、9月小学1年生
    →2019年2月2日〜2020年4月1日生まれ(14ヶ月分)

 ☝️上のように、来年2021年から2016年は生まれ幅が14ヶ月になります。

 そして2027年からは、2020年4月2日〜2021年4月1日生まれが同じ学年となります。4月〜8月はゼロ年生、9月から1年生となります。つまり、2027年からは、現行と同じく4月2日〜翌年4月1日までが同じ学年となります。

メリット

 小学校での学習に円滑に移行できる可能性があります。

 現行の小学1年生は、幼稚園や保育園を卒業すると、すぐに1年生として授業が始まります。学習習慣が身についておらず、授業中椅子に座っていられない子どもも中にはいます。

 「ゼロ年生」とは小学校で学ぶための準備期間のようなものと捉えると、学習支援が行えることはメリットとなり得ると考えられます。

デメリット

 教育課程の見直しやゼロ年生を担当する教員の増員が課題となります。

 小学校の期間が現行の6年間から6.5年間となってしまうため、カリキュラムを新しく作成しなければなりません。教科書も1年生からの学習のものしかありませんので、教材をどうするかも考えなければいけなくなります。

 来年の小学1年生から子どもの数が増えるため、教員の増員も必要になってくるかと思います。

 また、幼児教育の立場からすると、子どもの発達段階に合わせて教育を行う必要があるため、見直しの検討が出てきます。

ゼロ年生

gooニュース

まとめ

 現在(2020年5月23日)、文部科学省で検討されている9月入学の案は3つです。

  • 案1 一斉実施案
    →来年の9月から完全に9月入学にする。来年の小学1年生だけ17ヶ月の生まれ幅が生じてしまう。
  • 案2 段階的実施案
    →来年の9月から実施するが、来年2021年から2025年の5年間は小学1年生が13ヶ月の生まれ幅が生じてします。
  • 案3 小学ゼロ年生導入案
    →来年から4月〜8月を小学ゼロ年生とし、9月から1年生とする。来年2021年から2026年の6年間は小学1年生が14ヶ月の生まれ幅が生じてしまう。

 

 3つの案に共通して、9月入学は次のようなメリットが挙げられています。

  • コロナの影響で失われた教育課程の遅れを取り戻すことができる。
  • 世界的に9月入学制度が多いため、教育のグローバル化が進む。
  • 受験シーズンが夏頃になるため、雪による公共交通機関の乱れやインフルエンザ等の感染症の問題を避けることができる。

 ただし、9月入学を導入することで「法整備の問題」、「小1増加問題」、「学校行事の日程調整問題」など、解決しなければならない問題がたくさんあります。

 それでもサポティーは、9月入学に賛成です!

 最大の理由は、

失われた学習の機会と青春を取り戻せる!

からです。

 子どもたちは長期間の休校の影響で、学ぶ時間を奪われました。勉強に集中することができる大事な時間を取り戻すには、9月入学を導入し、今年度の終わりを延長することが必要だと思います。

 楽しみにしていた体育祭や文化祭も、やり直すことができるかもしれません。一生に一度の大切な青春の時間を取り戻してほしいです。

 新小1が増加してしまうことは、教員にとって大変なことです。教室の確保も問題になってくるかと思います。

 しかし、オンライン教育を徹底すれば「小1増加問題」は解決するのではないでしょうか。オンライン授業を行えば、必ずしも一つの教室に大勢の子どもが集まる必要がなくなります

 現在、文部科学省は「GIGAスクール構想」を掲げて、早急に子ども一人1台パソコンを配備しているところです。今年(2020年)の夏頃までに配備をするとも説明しています。

 新小1が入学するまでに、オンライン教育を各学校で行い、全員が学校に通わなくても良い環境にすることが問題解決につながります。

 学校に来る子どもの人数が減れば、新小1をじっくり見守る場所を確保できるはずです。

 コロナの影響で社会全体が変革を求められています。学校もこれ以上社会から孤立しないためにも、9月入学を導入し、「新しい学校生活様式」を目指すことが大切であると思います。

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